・添付文書の「してはいけないこと」が、難しくて理解できない。
・第5章「してはいけないこと」の覚え方がわからない。
・添付文書の重要なポイントを知りたい。
そんな悩みを、解決します。
この記事では、添付文書の「してはいけないこと」の項目をまとめてあります。
さらに、してはいけないことの覚え方のコツも紹介しています。
登録販売者試験で第5章を勉強している人だけでなく、
現在、登録販売者として現場で活躍している方にも応用できる内容です。
添付文書にある「してはいけないこと」とは
「してはいけないこと」とは、添付文書の項目のひとつです。
【使用上の注意】の最初の必要事項として必ず記載されています。
市販薬の添付文書において、もっとも重要な文面となります。
「してはいけないこと」に記載されている内容
してはいけないこと」に記載されている内容は、以下の3点です。
- 守らないと症状が悪化する
- 副作用が起こりやすくなる
- 事故などが起こりやすくなる
守らないと症状が悪化する=その薬を飲むと症状が悪くなってしまうということです。
副作用や事故が起こりやすくなることも、人体に重大な影響を与える可能性があるということですね。
ちなみに、妊娠検査薬などの一般用検査薬は、
「その検査結果のみで確定診断はできないので、判定が陽性であれば速やかに医師の診断を受ける旨」が記載されています。
「してはいけないこと」の覚え方のコツ
難しいと思ってしまう「してはいけないこと」ですが、覚え方のコツがあります。
- (過去の)自分に対して想像してみる
- 身近な人を参考にしてみる
- もしもこうなってしまったらと仮定する
(過去の)自分に対して想像してみる
過去の自分は1番イメージしやすかったりします。
例えば、あなたに出産経験があるなら、妊娠時に市販薬を飲むことをためらっていたでしょう。
実際に、妊娠しているときに注意すべき薬が多いからです。
もしあなたがよくお酒を飲むなら、「服用前後は飲酒しないこと」という薬を知っておくといいでしょう。
過去の自分や今の状態が、「してはいけないこと」に当てはまる場合があります。
その項目は、あなたの健康状態を維持するための大事な知識になりますよ。
身近な人を参考にしてみる
あなたの身近な人を参考にするのも良い方法です。
卵アレルギーがある人には、卵アレルギーの方が使用禁止の薬をおすすめしてはいけません。
また、親や親戚などで持病がある人には、どんな薬を併用したらいけないか考えることもできます。
もしもこうなってしまったらと仮定する
もし、あなたが透析治療をすることになったら、どんな薬が飲めないのか。
もし、あなたの子供が心臓病を患ってしまったら。
もし、あなたがストレスで胃酸過多になってしまったら。
この覚え方では、あなたの妄想力が試されます。
オタクの方は、好きな推しキャラのもしもシリーズを考えるのも1つの手です。
あなたの覚えやすい方法で、勉強してくださいね。
さて「してはいけないこと」について、深く掘り下げていきます。
「してはいけないこと」の主な内容
「してはいけないこと」の主な例は、次の通りです。
- 次の人には使用しないこと
- 次の部位には使用しないこと
- 本剤を使用している間は、次の医薬品を使用しないこと
- その他「してはいけないこと」
それぞれ順番に解説していきますね。
次の人には使用しないこと
「次の人には使用しないこと」は、どんな人が使用してはいけないのかが記載されています。
ここでは、下記の要素がそれぞれの要因に含まれます。
- アレルギーの既往歴
- 症状や状態
- 基礎疾患
- 年齢
- 妊婦の可能性
- 授乳しているか
要因となる理由は、
重篤な副作用を引き起こす、危険性が特に高いからです。
そのため、使うことを避けるべき人ということで、
一般の生活者が、自分の判断で認識できるようにわかりやすく記載しています。
また、一般の生活者が誤って使用されやすいものがある場合にも「使用してはいけないこと」が記載されます。
- 改善が期待できない症状
- 使用することで状態が悪化するおそれのある症状
これらは市販薬によって、持病が悪化したりするのを防ぐためです。
重篤な副作用が出る可能性がある医薬品には「アレルギーの既往歴がある人などは使用しないこと」と記載される場合もあります。
- ショック(アナフィラキシー)
- 皮膚粘膜眼症候群(SJS)
- 喘息など
主に上記の副作用です。
薬の成分によるアレルギーがある人は、重篤な副作用が起こる可能性があります。
さらに、小児が使用した場合に
有害な作用が起こるおそれのある成分を含む医薬品があります。
その場合「〇〇歳未満の小児」といった、年齢制限のある記載がされます。
次の部位には使用しないこと
皮膚の一部の場所など、
局所的に使用する医薬品は、患部の状態によっては症状を悪化させたりします。
使用を避けるべき患部の状態、適用できる部位などが、簡単に記載されています。
本剤を使用している間は、次の医薬品を使用しないこと
薬を併用した場合、効き目や作用が強くなったり、副作用のリスクが上がったりする可能性がある薬があります。
それらは注意喚起として、「使用を避ける」などの文章が記載されています。
医療用医薬品と併用する場合は、自己判断で薬を使わないといった判断はあまりよくありません。
そのため「相談すること」の項目で、「医師の治療を受けている人」といった記載がされています。
その他:してはいけないこと
副作用、または副作用により誘発される事故の防止のために、避けるべきことが記載されています。
小児では通常当てはまらない内容もあります。
しかし小児に使用される医薬品においても、その医薬品の配合成分についての一般的な注意事項として、記載されています。
例えば、こんな記載がされています。
- 服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないこと
- 授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること
- 服用前後は飲酒しないこと
- 長期連用しないこと
これらは後半の項目で、詳しく解説しますね。
「してはいけないこと」主な使用上の注意の記載
添付文書で「してはいけないこと」に記載されている忠告の一覧です。
- 次の人は使用しないこと
- 次の症状がある人は使用しないこと
- 次の診断を受けた人は使用しないこと
- 次の小児は使用しないこと
- 次の妊婦、授乳婦等は使用しないこと
- 服用後、乗物または機械類の運転操作をしないこと
- 眠気、散瞳が生じる成分
- 連用、長期連用しないこと
- 大量に使用しないこと
- 過量服用・長期連用しないこと
- 服用前後は飲酒しないこと
- カフェインを含む飲料と同時に服用しないこと
- 本剤を使用している間は、次の医薬品を使用しないこと
- 次の部位には使用しないこと
- 天候に関わらず、紫外線に当てないこと
はい、めちゃくちゃ多いですね。
これらをわかりやすく噛み砕いて説明していきます。
「次の人は使用しないこと」
「次の人は使用しないこと」は、以下の種類があります。
- アレルギー症状を起こしたことがある人
- ぜんそくを起こしたことがある人
- アレルギー症状(発疹・かゆみ等)を起こしたことがある人
- 鶏卵によりアレルギー症状を起こしたことがある人
- 牛乳によるアレルギー症状を起こしたことがある人
「次の人は使用しないこと」シリーズは、意外と種類が多いのが特徴です。
アレルギー症状を起こしたことがある人
「本剤又は本剤の成分によりアレルギー症状を起こしたことがある人」
上記は、添付文書に記載されている文面です。
これらの成分はアレルギーの既往歴、つまりアレルギーを引き起こしたかどうかで判断します。
- かぜ薬、解熱鎮静薬(解熱鎮痛成分)
- チペピジン、デキストロメトルファン(鎮咳成分)
- リドカイン、ジブカイン(局所麻酔成分)
- ヨードチンキ、ポビドンヨード(殺菌消毒成分)
- ブチルスコポラミン(抗コリン成分)
- ロペラミド(止瀉成分)
- メキタジン(抗ヒスタミン成分)
- インドメタシン、フェルビナク、ケトプロフェン(抗炎症成分)
上記の表以外に、アレルギー症状の記載がある成分があります。
クロルフェミラミン、ベラドンナ総アルカロイド、プソイドエフェドリン、カフェインの4成分を含む鼻炎用内服薬です。
※調べたところ、現在販売されている市販薬にこの組み合わせは無さそうです
これらの成分をアレルギー症状の既往歴のある人が再度使用した場合、重篤なアレルギー性の副作用を生じる危険性が高まってしまいます。
そのため、してはいけないことの理由とされています。
重篤な副作用は以下のとおりです。
- ショック(アナフィラキシー)
- 皮膚粘膜眼症候群(SJS)
- 中毒性表皮壊死融解症(TEN)
また上記の表の成分以外に、アミノフィリン、テオフィリンという成分の記載があります。
キサンチン系薬剤の一種で、「てんかん」という病気の薬です。
医療用医薬品だけ存在するので市販薬にはありませんが、試験範囲として出題される可能性があります。
てんかんと聞いて、禁止要項にジプロフィリンが出てきた人はさすがです。
ジプロフィリンも同じくキサンチン系成分なので、親戚のような関係だったりします。
ぜんそくを起こしたことがある人
「ぜんそくを起こしたことがある人」の文面には、2種類あります。
- ぜんそくを起こしたことがある人
- 解熱鎮痛薬を使用してぜんそくを起こしたことがある人
どちらの内容によるかで、関連する成分がちがってきます。
前者なら、シップなどの抗炎症成分に当てはまります。
- インドメタシン
- フェルビナク
- ケトプロフェン
- ピロキシカム
これらの成分でぜんそくの発作を誘発するおそれがあるためです。
解熱鎮痛薬を使用してぜんそくを起こしたのなら、解熱鎮痛成分になります。
- アセトアミノフェン
- アスピリン
- イブプロフェン
- イソプロピルアンチピリン
上記の成分で、アスピリン喘息を誘発するおそれがあるためです。
アスピリン喘息は、薬剤の成分が原因のぜんそくです。
アレルギー症状(発疹・かゆみ等)を起こしたことがある人
アレルギー症状で制限される成分はケトプロフェンのみです。
使用してはいけない理由と症状が、少し違います。
「次の医薬品によるアレルギー症状(発疹・発赤、かゆみ、かぶれ等)を起こしたことがある人、チアプロフェン酸を含有する解熱 鎮痛薬、スプロフェンを含有する外用鎮痛消炎薬、フェノフィブラートを含有する高脂血症治療薬」
この場合、接触皮膚炎・光線過敏症を誘発するおそれがあるためです。
「次の添加物によるアレルギー症状(発疹・発赤、かゆみ、かぶれ等)を起こしたことがある人、オキシベンゾン、オクトクリレンを 含有する製品(日焼け止め、香水等)」
この場合だと、接触皮膚炎のみです。
上記は手引きの内容の引用です。
すごく難しいように感じますが、ぶっちゃけ試験ではここまで細かく問われることは滅多にありません。
「かぶれ・かゆみのアレルギー症状はケトプロフェン、副作用は接触皮膚炎と光線過敏症」と覚えておくだけで大丈夫です。
鶏卵によりアレルギー症状を起こしたことがある人
鶏卵のアレルギー=リゾチーム塩酸塩です。
リゾチームは、鶏卵(にわとりのたまご)の卵白から抽出したタンパク質です。
「鶏卵によりアレルギー症状を起こしたことがある人」という文面があるのは、鶏卵アレルギーの人がリゾチームを配合した薬を飲んで、重篤なアレルギー症状が出たと報告があるためです。
牛乳によるアレルギー症状を起こしたことがある人
牛乳のアレルギー=タンニン酸アルブミンです。
タンニン酸アルブミンは、乳製カゼインを由来としている成分です。
カゼインは牛乳のタンパク質の主成分なので、牛乳アレルギーの人はアレルギー症状が出てしまいます。
「次の症状がある人は使用しないこと」
「次の症状がある人は使用しないこと」は、症状・状態から使用しようしないことと記載しています。
以下の症状に使用してはいけませんよ。
- 胃酸過多
- 前立腺肥大による排尿困難
- 激しい腹痛または吐き気・嘔吐
- 患部が化膿している人
- 水痘(水ぼうそう)等化膿している患部
胃酸過多による使用禁止
胃酸過多は、カフェイン系の成分をメインとする眠気防止薬に記載されています。
カフェインが胃液の分泌を亢進し、胃酸が出すぎることで症状を悪化させるおそれがあるからです。
前立腺肥大による排尿困難の使用禁止
前立腺肥大による排尿困難は、プソイドエフェドリンの交感神経刺激作用が影響します。
尿を溜めてしまい、尿閉(尿が溜まってるのに排尿できない)になってしまうためです。
激しい腹痛または吐き気・嘔吐による使用禁止
「激しい腹痛または吐き気・嘔吐」といえば、ヒマシ油です。
急性腹症の症状である可能性が挙げられます。
患部が化膿している、水痘による使用禁止
患部が化膿している人、水痘(水ぼうそう)などで化膿している患部と記載されているなら、外皮に使用する外用薬です。
ステロイド性抗炎症成分、非ステロイド性抗炎症成分が該当します。
「次の診断を受けた人は使用しないこと」
「次の診断を受けた人は使用しないこと」は、基礎疾患などの持病がある人です。
主に以下の持病が該当します。
- 心臓病
- 胃潰瘍
- 高血圧
- 甲状腺機能障害
- 糖尿病
- 日常的に不眠の人、不眠症の診断を受けた人
- 透析療法を受けている人
- 口の中に傷やひどいただれがある人
心臓病による使用禁止
心臓病とは、心臓の構造や機能に疾患がある、心臓の病気の総称です。
下記の成分は心臓に負担をかけるため、症状を悪化させるおそれがあります。
- プソイドエフェドリン
- 芍薬甘草湯
- カフェイン
芍薬甘草湯は「してはいけないこと」の心臓に関わる唯一の漢方です。
胃潰瘍による使用禁止
胃潰瘍(いかいよう)=カフェインは禁物です。
胃液の分泌が過剰になり、症状が悪化します。
プソイドエフェドリンが使用禁止の持病について
プソイドエフェドリンは、心臓病のほかに高血圧、糖尿病、甲状腺機能障害にも使用してはいけません。
アドレナリン作動成分なので、いずれも症状が悪化します。
- 高血圧…血圧が上がるため
- 糖尿病…血糖値を上昇させるため
- 甲状腺機能障害…症状が悪化するため
日常的に不眠の人、不眠症の診断を受けた人の使用禁止
日常的に不眠の人・不眠症の診断を受けた人に、抗ヒスタミン成分の入った催眠鎮静薬(睡眠改善薬)は使用不可です。
睡眠改善薬は、一時的な不眠の症状のための薬です。
慢性的な不眠の人・不眠症と診断された人は、医療機関で治療を受ける必要があります。
透析療法を受けている人の使用禁止
透析療法を受けている人は、アルミニウム系の成分が含まれる胃腸薬が基本的に使用できません。
アルミニウム脳症、アルミニウム骨症を発症した報告があるためです。
口の中に傷やひどいただれがある人の使用禁止
口の中に傷やひどいただれがある人は、クロルヘキシジンが配合された口腔薬は使用できません。
強い刺激があるので、傷やただれの状態が悪化します。
「次の小児は使用しないこと」
「次の小児は使用しないこと」には、年齢制限がある医薬品・成分があります。
こちらについては、» 【登録販売者試験】年齢区分の覚え方・年齢制限のある成分一覧で詳しく解説しています。
「次の妊婦、授乳婦等は使用しないこと」
薬の成分の一部が母乳に移行し、飲んでいる乳児に悪影響をおよぼす可能性があります。
その成分が含まれる薬に、注意事項として記載されます。
- 妊婦または妊娠していると思われる人
- 出産予定日12週以内の妊婦
- 授乳中の人は服用しない、または授乳を避けること
妊婦または妊娠していると思われる人
妊娠しているときに禁止とされている成分です。
- ヒマシ油(瀉下成分)
- ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン成分)
- エストラジオール(女性ホルモン成分)
- オキセサゼイン(局所麻酔成分)
ヒマシ油は、その刺激から流産・早産リスクが高くなります。
ジフェンヒドラミンをメインとした催眠鎮静薬は、妊婦にとって適用ではありません。
眠気があるなら、病院で処方された薬を服用します。
エストラジオールは女性ホルモン成分なので、摂取すると胎児の先天性異常のリスクがあります。
オキセサゼインは、安全性が確立されていません。
出産予定日12週以内の妊婦
出産予定日12週以内の妊婦とは、妊娠7〜8ヶ月以上経ったくらいの期間です。
成分はアスピリンとイブプロフェンが該当します。
出産が近いこともあり、リスク事項が多いです。
- 妊娠期間の延長
- 胎児の動脈管の収縮、早期閉鎖
- 子宮収縮の抑制
- 分娩時の出血
授乳中の人は服用しない、または授乳を避けること
主に成分が母乳に移行し、乳児に影響を及ぼすためです。
- ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン成分)
- ロートエキス(抗コリン成分)
- センノシド、センナ、ダイオウ、カサントラノール(瀉下成分)
- ヒマシ油(瀉下成分)
- コデイン、ジヒドロコデイン(麻薬性鎮咳成分)
- アミノフィリン、テオフィリン(てんかん用薬の成分)
ジフェンヒドラミンは昏睡、ロートエキスは頻脈、瀉下成分は下痢、コデイン系はモルヒネ中毒、テオフィリン系は神経過敏です。
成分がわかれば、乳児に影響する症状が何となく理解できるようになります。
「服用後、乗物または機械類の運転操作をしないこと」
眠気や異常なまぶしさなどが引き起こされると、重大な事故につながる可能性があります。
そのため、薬を飲んで現れる症状の内容とともに、注意事項が記載されています。
抗ヒスタミン成分により眠気が生じる薬効群
ジフェンヒドラミン、クロルフェミラミンなどの抗ヒスタミン成分によって、眠気が懸念されます。
配合されている薬の一覧です。
- かぜ薬
- 催眠鎮静薬
- 乗り物酔い防止薬
- 鎮咳去痰薬
- 口腔咽喉薬
- 鼻炎用内服薬
- アレルギー用薬
- 内服痔疾用薬
抗ヒスタミン成分については、» 【抗ヒスタミン成分】登録販売者試験対策・解説まとめで詳しく解説しています。
眠気、散瞳が生じる成分
眠気が起こる可能性のある成分一覧です。
- コデイン、ジヒドロコデイン(麻薬性鎮咳成分)
- ブロモバレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素(鎮静成分)
- ロペラミド(止瀉成分)
- ロートエキス(抗コリン成分)
次の成分は、目のかすみや異常なまぶしさ(散瞳)など、目に負担がかかります。
- 抗コリン成分
- ピレンゼピン(胃液分泌抑制成分)
抗コリン成分のうち、スコポラミン、メチルオクタトロピンの2種類は目のかすみやまぶしさに加え、眠気も生じます。
「連用、長期連用しないこと」
連用とは、長期間に渡って同じ薬を摂取しつづけることです。
連用すると副作用が現れやすくなる、効果が弱まってしまい薬に頼りがちになってしまう成分が配合されている場合に記載されます。
比較的作用の強い成分も、ここに分類されます。
- インドメタシン、フェルビナク、ケトプロフェン、ピロキシカム(抗炎症成分)
- ヒマシ油(瀉下成分)
- カフェイン
- グリチルリチン酸(抗炎症成分)
- スクラルファート、アルジオキサ(胃粘膜保護成分)
- アルミニウムを含む成分(制酸成分)
- ステロイド性抗炎症成分
- ビスマス(止瀉収斂成分)
どの成分も副作用を生じるおそれや、他に原因がある可能性があったりと、連用することで及ぼす可能性を下げるためです。
「連用しないこと」「長期連用しないこと」と記載されています。
「大量に使用しないこと」
「大量に使用しないこと」は、そのままの意味で大量に飲んではいけません。
これらの薬は、刺激性瀉下成分が該当します。
- センナ
- センノシド
- ダイオウ
- カサントラノール
- ビサコジル
- ピコスルファートナトリウム
腸管粘膜への刺激が大きくなり、腸管粘膜に炎症を起こす可能性があるためです。
「過量服用・長期連用しないこと」
乱用に関する注意で、麻薬性鎮咳成分が該当します。
- コデイン
- ジヒドロコデイン
これらは依存性、習慣性がある成分です。
倦怠感や虚脱感などが現れることがあり、実際に市販薬の乱用事例が報告されています。
「服用前後は飲酒しないこと」
お酒を飲んで摂取したアルコールによって、薬の作用が強くなったり、副作用が起きてしまう場合があります。
こういった危険性が予想される場合の薬に記載されています。
- かぜ薬、解熱鎮痛薬(解熱鎮痛成分)
- ビスマス(止瀉収斂成分)
- ブロモバレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素(鎮静成分)
- 抗ヒスタミン成分がメインの催眠鎮静薬
「カフェインを含む飲料と同時に服用しないこと」
カフェインの成分が過量摂取となり、中枢神経系や循環器系などに作用が強く合わられるおそれがあります。
- カフェインを含む眠気防止薬
添付文書には「コーヒーやお茶等のカフェインを含有する飲料と同時に服用しないこと」と、記載されています。
「本剤を使用している間は、次の医薬品を使用しないこと」
併用薬に関する注意点で、一緒に使用してはいけない薬同士です。
- 瀉下薬 ↔ ほかの瀉下薬
- ヒマシ油 ↔ 駆虫薬
瀉下薬同士を併用すると、激しい腹痛をともなう下痢などの副作用が現れやすくなります。
ヒマシ油と駆虫薬を併用すると、駆虫成分が腸管内にとどまらず吸収されやすくなり、効果を発揮しなくなるためです。
実際の現場ではほぼ必要ない知識ですが、わりと過去問に出ていたりします。
「次の部位には使用しないこと」
使用してはいけない部位の一覧です。
パッと見ても、明らかにダメな部位が多いですが、特に副作用が起こるものに記載がされています。
- 目の周り、粘膜
- 湿疹、かぶれ、傷口
- 陰のう、外陰部
- やわらかな皮膚面、顔面
- 炎症や傷のある患部
- ただれ、化膿している患部
- 湿潤、ただれのひどい患部、深い傷、ひどいやけど
水虫、たむし用薬はメントールなど皮膚刺激成分が配合されているため、目の周り、粘膜に使用すると強い刺激や痛みが起こります。
皮膚刺激成分は、外用鎮痛消炎薬などにも配合されています。
うおのめ・たこ・いぼ用薬も、目の周囲や粘膜、傷のある患部に使用不可です。
角質溶解作用の強い薬で、誤って目に入ると障害をあたえる危険性があります。
首などのやわらかい皮膚面、顔面も、作用が強すぎる記載がされています。
殺菌消毒薬は、ただれや化膿している患部に用いると、分泌液が貯留して症状を悪化させます。
同じく、バシトラシンが配合された化膿性疾患用薬も、刺激が強く症状を悪化させます。
「天候に関わらず、紫外線に当てないこと」
紫外線に当てない=ケトプロフェンです。
使用中、または使用後しばらくしてから重篤な光線過敏症が現れることがあります。
添付文書には、「本剤の使用中は、天候にかかわらず、戸外活動を避けるとともに、日常の外出時も本剤の塗布部を衣服、サポーター等で覆い、紫外線に当て ないこと。なお、塗布後も当分の間、同様の注意をすること」と、記載されています。
まとめ:試験より実務経験のほうが重要です
- してはいけないことについて
- 守らないと症状が悪化する
- 副作用が起こりやすくなる
- 事故などが起こりやすくなる
「してはいけないこと」は、一般の生活者が自己判断で認識できるように記載されています。
しかし実際の現場で話を聞くと、添付文書を読まずに捨ててしまう、読んだことがないお客さんもかなり多いです。
医療用の薬の飲み合わせはわからなくても仕方ないですが、
「してはいけないこと」の禁忌事項については、少しでも覚えておきたいところです。
私にとっても「してはいけないこと」項目の再確認ができました。
あなたの勉強のためになれば、幸いです。